世界トップクラスのシェアを誇る山一電機の検査用ICソケットは、半導体製造工程においての最終検査で活躍しています。コラムPart1では、検査用ICソケットがどのような材料と技術で作られているかを解説しました。
検査用ICソケットに使われている接触子は、半導体パッケージと検査基板をつなぐとても重要な役割を果たしています。
今回のコラム記事では、検査用ICソケットに使われている半導体パッケージと検査用基板を電気的につなぐ接触子が、どのような材料で作られているかをご紹介します。
検査用ICソケットの接触子にはどのような種類がある?
山一電機が開発している検査用ICソケットの一種、バーンインソケットにおいては、様々な半導体パッケージに対応できるよう、プレス加工技術を用いて板バネ状に加工された接触子(図1)が一般的に使われています。
またテストソケットは、室温での電気的特性を保ち、短時間で多くの半導体パッケージを検査するために、使用頻度の高さを保証する繰り返し特性が必要とされます。
高温下で使用されるバーンインソケットと比べると、室温で使われるテストソケットの接触子は、半導体パッケージに対して接触子を一般的に高い荷重で設定します。そのため、筒状のプローブピンと呼ばれる接触子(図2)の内部にコイルバネを入れることが特徴です。
検査用ICソケットの接触子に求められることとは?
バーンインソケット、テストソケットの接触子には以下のような条件が求められます。
- 150℃以上でも特性が劣化しない耐熱特性を持ち、熱をよく伝える材料であること
- 導電性が良いこと
- 母材として柔らかく加工しやすいこと、成形性が良いこと
- 材料の表面硬度が固いこと、高い引張強さを有すること
- 疲労特性が良いこと
- 耐食性に優れていること
検査用ICソケットの接触子に使われる主な材料とは?
■バーンインソケットの接触子に使われる材料
山一電機のバーンインソケットに使われる接触子は、様々な半導体パッケージに対応できるデザインが求められます。そのため、優れた加工性を持ち、半導体パッケージの検査環境に耐えうる材料を使用しています。
主要な材料名 | 主な特色 |
BeCu(ベリリウム銅) | 電気をよく通す、熱をよく伝える、耐食性がよい |
※BeCuの大きな特徴は母材が柔らかく、加工しやすく、析出硬化(母材を加工した後に熱処理をする事で高硬度を得ること)により、非常に高い引張強さを実現できることです。
■テストソケットの接触子に使われる材料
山一電機のテストソケットに使用される接触子はプローブピンと呼ばれるもので、一般的に4つの部品で構成されており(図3)、それぞれ使用する材料が異なります。特に、室温に近い環境下における使用シーンでは、バーンインソケットと比べて多くの半導体パッケージを短時間で検査するため、プローブピンの接触子は半導体パッケージに対して高い接触荷重と繰り返し特性を必要とします。
※当社のプローブピンの中には米粒より小さなものもあります。お客様の用途、検査環境ごとに様々な材料のオプションがあり、用途に応じたカスタムメイドにも対応しております。
各部品の役割
- プランジャーA:半導体パッケージ側に接触する部品
- バレル:プランジャーA、Bとコイルバネを格納する部品
- プランジャーB:検査基板側に接触する部品
- コイルバネ:プローブピンのばね特性(荷重)を出す部品
構成部品 | 主な材料名 | 特色 |
プランジャーA、B | BeCu(ベリリウム銅) | 加工性が良く、抵抗値が低い(一般的な材料) |
SK(炭素工具材) | 材料の表面硬度が固い、耐久性がある | |
Pd合金(パラジウム合金) | 鍍金が不要ではんだ転写に強い | |
バレル | PB(リン青銅) | 導電性が高い、耐摩耗性に優れている |
コイルばね | SWP(ピアノ線) | 使用温度は125℃以下 |
SUS (ステンレス) | 使用温度は150℃以下 |
これからの検査用ICソケット、半導体(IC)のトレンド
半導体パッケージは、私たちが手にするパソコンやスマートフォンなどの家電に加え、自動車分野においてはADAS(先進運転支援システム)、ハイブリッドカー、EV車に搭載されます。さらに、データセンター、生成AI用の半導体技術が今後発達していく中で、半導体パッケージも高い信頼性が要求され、急速に発展し、DX時代を支えていくと期待されています。
山一電機は、市場からの検査用ICソケットのニーズに応え、半導体検査装置と半導体パッケージを“確実につなぐ”高い接触技術で、世界の半導体の品質向上を陰で支えていきます。
少量多品種のバーンインソケットおよびテストソケットから、特殊な半導体パッケージに対応したカスタムメイドのソケットまで、半導体パッケージのテストソリューションでお困りでしたら、ぜひ一度お問い合わせください。