当社は、気候変動への対応を経営戦略の重要課題と位置づけ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を2023年12月に表明しました。TCFDの提言に従い、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の情報開示フレームワークに基づいた開示を行います。
ガバナンス
2023年3月、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しました。
サステナビリティ委員会では、気候変動問題への取り組みなどの審議を行っており、委員会で決議された内容は取締役会へ報告する体制をとっています。
目標が着実に達成されているかを管理するため、目標と実数値に乖離がある場合、または改善の余地がある場合には、サステナビリティ委員会を中心に、目標達成に向けて取り組みます。
戦略
当社では、気候変動がもたらす長期の「リスク」と「機会」を明確にすべく、シナリオ分析を行っています。1.5℃シナリオの分析においては、各国・各地域で脱炭素政策が強化され、当社が関わる産業への影響を想定しました。また、4℃シナリオの分析においては、気候変動に対して各国・各地域で脱炭素政策が強化されず、平均気温が上昇を続け、自然災害が激甚化する中で、物理面でのリスクが高まることが想定されます。
1.5℃シナリオ
カーボンニュートラルに対する各種規制が強化され、持続可能な社会に向けて企業や自治体が再生可能エネルギーや省エネルギーへの対応を積極的に行っている状態
機会と リスク |
分類 | 事業インパクト | 影響 |
---|---|---|---|
機会 | 次世代自動車の普及 | EVなど次世代モビリティ需要が高まることによる コネクタ、半導体市場の拡大 |
大 |
通信インフラの省電力化 | 省電力の電子機器を使用したサーバー構築による コネクタ需要の増加 |
大 | |
省エネ機器への置換え | 省電力による電力制御、コントロール制御による 半導体需要の増加 |
大 | |
GXへの変革 | 企業や自治体のGX対応による半導体需要の増加 | 中 | |
移行 リスク |
各国の政策 | 電力制御による工場の稼働停止 | 大 |
脱炭素税導入による負担コストの増加 | 大 | ||
排出枠購入によるコストの増加 | 中 | ||
再生可能エネルギー設備への切り替えコストが 発生するリスク |
中 | ||
産業廃棄物処理コストの増加 | 小 | ||
顧客要求 | 脱炭素化に対するニーズへの対応遅れによる機会損失 | 中 |
4℃シナリオ
現状のまま温度上昇に対して対策が講じられず、自然災害リスクが高まる状態
リスク | 分類 | 事業インパクト | 影響 |
---|---|---|---|
物理 リスク |
異常気象の発生増加 | サプライチェーン分断による原材料の入手難が招く コストアップ |
大 |
工場被害による稼働停止 | 大 | ||
平均気温の上昇 | 光熱費の上昇 | 中 | |
工場の稼働抑制 | 中 |
リスク管理
当社グループは、環境推進委員会を中心に環境リスクを特定し、各部署が目標に沿った取り組みを進めるために、ISO 14001に基づく環境管理体制を編成しています。
また、進捗管理は社内指標を可視化し、環境への取り組みを推進するとともに管理体制を強化しています。
指標と目標
山一電機グループは、2030年にCO2排出量を2021年度の原単位基準で40%削減することを目指してまいります。また、2050年のカーボンニュートラルに向けて取り組んでまいります。
*当社におけるCO2排出量原単位は、連結売上あたりのCO2排出量となります。
2021年CO2排出量原単位実績:0.36t/百万円